第1章空を飛べるとはどういうこと。

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 俺は、歩きながら、色んなことを考えた。例えば、小さな鳥についてだとか、例えば小さなバカについてだとか、俺はどこまでバカなのだろうかという疑問も出てきた。俺の存在理由は誰が知っているのだろう。  俺は、夕焼けの光を見ることはなく。昼間の太陽を拝みながら空気を吐きした。まだ、一日は長かった。  唐突に寒気を感じた。温い感じではない、寒気である。デリケートな俺の体はぼろぼろになってしまったかのように、苦しんだ。だが、そんな寒気は、風とともに立ち去った。  俺は、古びた駅の中に入ると、ダンボールに包まれて眠ったのであった。  俺は朝おきることはなく深夜に起きた。眠気を確かめながら、ホームレス友達を確かめて、また歩き出した。深夜の駅はとても古びた印象をかもしだす。明滅した自動販売機が、こちらを眺めている。俺はそこに百二十円を投入して、缶コーヒーを買ったのであった。いつもの日常がそこには確かに存在していた。  俺は、唇を舐めながらコーヒーを飲み干すとゴミ箱に放り投げた。缶コーヒーのぶつかる音に、俺はびっくらこき、俺は外に出ることにした。歩きながら、いろんなことをおもった。街明かりはあまりなかった。俺の向かう先は、電話で言われた職場であった。下見気分で向かうと、そこには、確かな豪華さがあった。ヘリコプターまで置いてあったのだから不思議なものであると、このときの俺は感じた。俺ってなんだろう、俺って不思議だろう、だが、俺はここにいる。俺は目を開けながらいろんな唄を謳った。  そして、立ち去ることはせず、ずっとそこを見つめていた。そうすることで俺の中にあるけだものを押さえ込んでいた。  あともう少しで師匠に追いつけるのだとおもうことで、である。  朝の十時になると、インターホンを押した。出てきたのは本屋の主人だった。本屋の主人がこちらを見て口を押さえて笑ったけど、そんなことは気にしなかった。本屋の主人がヘリコプターまで案内すると、一通りの書類を見せつけた。
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