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俺はもう一度、泉の中を覗き込もうと足を一歩前に出した。
今度は集中して水面を覗き込もうとした瞬間、トントントンとまたドアを叩く音と同時に光のドアが開いた。
おっさんが隠れる間もなく、先ほどの天使が現れた。
天使はおっさんの顔を見るなり、ようやく会えたと喜んでいた。
おっさんは天使の顔を見るなり顔色が青ざめた。
「頼む。地獄へ連れて行かないでくれ」
息を荒げながら、おっさんは後ずさりをして逃げようとしていた。
「あなたは地獄なんて行きませんよ」
天使はそんなおっさんを見ながら、冷静にそう言った。
だが、おっさんは信じていないのか、何度も振り払うように首を振っていた。
俺は、そこまで地獄行きだと信じる根拠は何かとおっさんに尋ねたが、何も答えてはくれなかった。
天使はそんなおっさんに、語り掛けるように言った。
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