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「ありがとうね。みんな元気で。また、いつの日か会いましょうね。さようなら」
泉の中のおばあさんが大きな深呼吸をすると、静かに息を引き取るのが見えた。
おばあさんは、天使と光のドアの前に立った。
俺とおっさんに、短い時間だったけれど楽しかったと礼を言った。
ドアが開くと、向こう側は光で何も見えない。
おばあさんはふと思い立ち、天使に話しかけた。
「向こうに行ったら、あの人に会えるかしら」
天使は「はい」と答えた。
「でも、私シワシワだから嫌われちゃうかしら」
天使は「向こうでは、生きてきた年齢の好きな自分に戻れますよ」と答えた。
おばあさんは嬉しそうに、「それなら、またあの人と恋が出来そうね」
そう言って、光の中に入っていったのだった。
天使もまた、おばあさんを送るために後を追っていった。
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