1人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、おっさんと二人きりになった。
おっさんは小指の光の糸を見つめ、「こんな糸、今まで気づかなかった」と呟き、泉に近づいた。
そして、右手の小指を泉に浸けると、水面に映像が浮かんできた。
それはどこかの病室。
おっさんはベッドの上で目を閉じ、口には酸素マスク、体にはいくつも管が繋がっていた。
そこにおっさんの手を握る一人の女性がいた。
疲れているのか、ベッドに顔を埋めたまま眠っているようだ。
「姉ちゃん」
隣で見ていたおっさんがそう呟いた。
「家族に迷惑かけたくない、か……」
最初のコメントを投稿しよう!