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「どうされますか」
背後で声が聞こえた。
振り返ると、そこには天使がいた。
俺は死にたくない、と答えた。
天使は、俺はまだ現世に戻れる身であると教えてくれた。
だが、それはかなりの痛みと苦痛を余儀なくされ、死を選べばそれらからは解放されると言った。
それでも俺は、妻のためにも生きたいと伝えた。
天使はそれを了承し、俺に泉に入り下を目指すように言った。
そして、いつかまた会いましょうと言い残すと、光のドアを開けて去っていった。
俺は天使の言う通り、泉の中に入り下に向かって潜った。
不思議と苦しくはなく、呼吸は出来るようだ。
青い光に向かって、俺はただただ潜っていった。
しばらく潜ったところで、俺の体が軋みはじめた。
動かしていた手や腕の感覚がなくなり、頭と体に激痛が走った。
痛みでまったく動かせなくなった俺の体は、ただただ下に落ちていった。
そのうち目も眩み、俺の視界は真っ暗になった。
まるで死を体験しているかのようだった。
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