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付和彦の実姉、宇木舞華だ。
象牙色の生地に、赤と黒の花柄が彩るワンピースを着ている。麦わら帽子の下は脇まで黒髪が伸び、毛先が外に巻かれている。ふっくらな唇に反する、笹の葉のような横長の目が、長いまつ毛の装飾で際立つ。
女にしては高い身長は、帝太と同じぐらいだ。透きとおった肌は屋根族的ではない。
大人になった舞華は、付和彦と顔立ちが似なくなった。丸顔の弟も大人になると変わるのだろうか。
「お姉ちゃん、そりゃ」
付和彦が宙を泳ぐ。細い姉の肢体が、難なく実弟を抱きとめた。
「どこ行ってたの?」
「ごめんね、フワちゃん。会いたかったわ」
「ぼくもあいだがっだあ」
舞華が頬ずりすると、涙声の付和彦は仔犬のようにじゃれた。
膝の痛みが抜けた帝太は、二つ歳上の女に近づいて叱咤する。
「そんな恰好じゃ地上からパンツ丸見えだぞ」
「見せてんのよ。地上人が喜ぶでしょ。無様に」
「だめ、絶対やめろ」
舞華が鼻から空気抜け気味の低い声色で返してくる。
「帝太あ、あんたに命令されたくないわよ」
彼女は弟を下ろし、頭を撫でた。直後、ワンピースの裾を託し上げる。
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