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第二章 狩猟採集
☆☆☆
歴史を遡ると帝太たちの祖先は、元は関西にいた。戦国時代から江戸時代にかけ、忍者に扮したこととおそらく帰巣本能もあり、関東及び東北地方南部を移住生活する民となった。
その狩猟採集民が、屋根族として認知される時代が来て、存在が法的に守られるようになっても、当初、採集の行為は暗黙で見逃されていたにすぎない。
なにしろ泥棒なのだ。地上人が被害を感じる問題との狭間で、日本的曖昧さにより、事実上の放置だったのだ。
粗食の時代には、屋根族と地上人の良好な関係もあった。地上人は食料や衣服などを、少数民へ必要に応じて与えるにすぎなかったからだ。
屋根族が節度を守るなら、同情の対象だった。
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