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屋根の上に逃げのびたのは人間だけではなかった。
酪農業の発展と引き換えに、害獣扱いで絶滅させたはずの狼が、屋根の上で目撃されるようになっていた。
ニホンオオカミが屋根狼に進化を遂げていたのだ。
日本政府は過去の虐殺を過ちとし、屋根狼の殺処分を禁止した。代わりに狼のための国定公園を設け、自治体ごとに捕獲して送らせる策をとった。
解決と思いきや、地上人は狼の屋根適応進化をあまく見積もり、後手を踏んだ。屋根狼は法律を無視して、地上で餌を漁り、屋根の上へ逃げるのだ。立体の世界を自由に動く厄介な獣に対応しきれず、過剰繁殖を許してしまった。
よって政府が地上人の安全のため、追加した策がある。屋根狼の捕獲を屋根族に委ねる策だ。
結果、屋根族は地上人との共存関係を築き直せたのだった。
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