第二章 狩猟採集

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 帝太お馴染みのデニムの群青ツナギ、その胸ポケットが震動した。スマートフォンをとりだし、メールを見る。 「母ちゃん、依頼が回ってきたから俺行くよ」 「パンになに挟む?」 「ハムだけでいい」  帝太は青果市場の屋根に設置したテントを出る。  朝日に背伸びをし、欠伸の口でハムサンドに齧りついた。 「テイちゃん、寝不足?」  待っていた声は愛高(あいたか)(こう)だ。彼女は愛高家のテントの陰から顔を覗かせ、三歩で跳ねてきた。額が帝太の肩の高さほどで、とても小柄だ。 「朝っぱらの跳ね女」 「そんな言い方して」  好が立腹のふっくら頬で体を捻ると、舞華より遥かに大きな胸が揺れた。  彼女は吊り気味の二重瞼で黒目が大きく、鼻は猫のに似ている。唇は上下逆さのごとく口角が下がり、最後の二ミリほどは反っている。同い年なのに、第二次性徴前の顔に見える。  着ている赤いツナギは、帝太に合わせたデニムの生地だ。
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