ー忘れたい、キス

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 智哉も、言うべきか悩んだらしいけど、言わないのもと思い直して教えてくれたのだ。  智哉自身、おじいさんのことは大切に思っているから心配だったのだろう。  いかなくていいとは言ったが、きっと内心様子を見に行ってほしいと思ってたはず。  俺は、不定休だから平日休みもあるけど、智哉はなかなか平日は休めないらしい。  たまたま今日休みだったから、俺が様子を見てきてやるっていって今日はここに来たのだ。 「智哉もとても心配していました。仕事の合間に寄れたら寄るとはいってましたけど」 「そうか。智哉にも本当に心配をかけてしまったね。あとで、詫びをいれておこう」 「はい。連絡してあげてください。安心すると思います」  なかなかの、おじいちゃん子だからな。  少し世間話も交わし、あまり長居しては邪魔になるだろうとおじいさんに断りを入れ帰ることにした。  さっきのお手伝いさんを呼ぼうとしてくれたけど、来た道は覚えているからと手を煩わせるのも嫌で断った。
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