ー忘れたい、キス

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「どうして・・・」 「あ、の、おじいさんの、お見舞いに・・・」 「父ですか? どうして父の・・・」  そうか。  智哉から見た立場で俺はおじいさんと呼んでいるけど、社長からしたらお父さんなんだ。  智哉のお母さんとは年の離れた弟だと言っていた。 「父とは、お知り合いだったんですか?」 「え、ええ・・・」  どうしよう。  言ってしまっていいのか。  智哉の恋人で、紹介されたから知っているのだと。  俺が騙すのはおじいさんだ。  むやみに他の人に知られたくないかもしれないと不意に過った。  でも、それを言わないと切り抜けられない気がした。  女である俺に、とても入れ込んでいる様子だから。
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