ー忘れたい、キス

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「ああ、私は今日はちょうど休みで、父が腰を痛めたので様子を見るためにも自宅にいたのですが、貴方に会えるなんて、本当に幸せだ」 「あ、あの」 「もしかしたら、運命かもしれない」  いやいやいや。  運命とか、簡単すぎるだろ。  ただ偶然社長の家で出会っただけだ。  そんな奇跡的状況じゃない。 「本当に、こんな気持ちははじめてなんです。貴女のことが忘れられない。貴女のことがもっと知りたい、仲良く、なりたいと」  じりじりと迫ってくる。  どうしたら・・・。  なんだろう。  同じ男だから、なにも恐れることなんてないはずだ。  俺はか弱い女ではない。  見た目が今はそうなだけだ。  でも、なぜかただならぬ恐怖感を感じる。
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