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智哉と、写真撮影の時にしたキスは嫌じゃなかったのに。
こんなにも、違うものだったのか。
「っ? 夕紀?」
「・・・智哉」
玄関を出ようとしたところで、ちょうど入ってきたらしい智哉に出くわした。
今、このときに会いたくなかった。
俺の顔、たぶんグシャグシャだ。
涙こそ出ていないけど、マキさんが綺麗に塗ってくれたリップは手の甲で乱暴に何度も拭ってよれているだろうし。
顔は青ざめているかもしれない。
「どうした?」
「ーーーーっ、なんでも、ない」
そういうのが精一杯だった。
言えない。
だって、きっと大したことない。
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