ー忘れたい、キス

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「はぁ、もう。じゃあ、あたし仕事に戻るわ。この部屋はいつまででもいてくれてもいいけど、帰るときには声かけてちょうだい」 「ああ。マキありがとう」 「いいのよ。じゃあね」  マキさんがいってしまう。  今日はずっと俺の勝手に付き合ってくれて、変身させてくれて、取り乱して帰ってきた俺のそばにずっといてくれた。  ちゃんと、お礼言ってない。 「マキさん! あの、俺・・・。本当に、ありがとう」 「いいわよ。あたしが好きでやってるんだから」  そう言ってヒラヒラと手をふって部屋を出ていくと、残されたのは智哉と俺。  少し冷静になった俺は、恥ずかしくなって黙ってうつむく。 「なにがあった?」 「・・・・・・なにもないって」 「ないはずがないだろう」  咎めるような少し厳しい声。  俺はぎゅっと体に力を入れて、縮こまった。
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