ー忘れたい、キス

23/28
前へ
/288ページ
次へ
「だったら、ちゃんと話せ」  諭されるように言われ、グッと考え込む。  冷静になって考えてみると、大袈裟に騒ぎすぎたんじゃないかと思ってしまう。  きっと、マキさんも智哉もどえらいことをされたんじゃないかって思ってると思うんだ。  それくらいの心配ようだし。  でも、考えてみれば、ただキスされただけ。  ちょっと抱きしめられて、キスされただけだ。  だから、少し言いづらい。  なんだ、そんなことかって言われるのがオチかもしれない。  今、自分でもそう思う。  そんなことで、こんなにも取り乱した自分が馬鹿馬鹿しい。 「冷静になったら、本当に何でもないことだった。だから、問題ない」 「強情なやつだな」 「ほんとだって!」 「何でもないことならなおさら言えるだろ」 「・・・う、だ、だから。ただちょっと抱き締められて、き、キスされただけなんだって」  キス、はすごく小さな声になった。
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1152人が本棚に入れています
本棚に追加