ー忘れたい、キス

28/28
前へ
/288ページ
次へ
 何で引き止めてんだ俺。  万々歳じゃないか。  智哉がそう言ってくれてるんだ。  もう終わらせていいって。  でも、それが終わったら俺たちの関係は?  俺が智哉の恋人の役をするから始まったこの関係。  それが終われば、俺は用無しだ。 「だから、だから、大丈夫だって」 「最初はあんなにいやがってたのに」 「そうだけど・・・。おじいさん、いい人だし」  そう。おじいさんのことは好きだ。  まるで、本当のおじいちゃんみたいで。  おじいちゃんがいたら、俺もあんな風に可愛がってもらえてたのかなって。  そんな風に思えるから。 「じゃあ、俺から俊之さんに夕紀が恋人だと話しておく。そして釘を刺しておく」 「・・・う、ん」 「これからは、基本的におじいさんと会うのも俺と一緒の時にしよう。俺が仕事で無理になったときには、夕紀も一緒に断る。いいな」 「うん、わかった」  俺も、もうあんなのは嫌だ。  智哉が一緒にいてくれるのなら、心強いものはない。
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1152人が本棚に入れています
本棚に追加