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「俊之さん、そんな風に土下座されると夕紀も怒りたくても怒れないでしょう」
「あ、そ、そうだな・・・」
智哉に指摘され、俊之さんはそこでようやく頭をあげ立ち上がった。
ほっとする。いつまでも土下座されたままはものすごく居心地が悪かったから。
「今回のことは、私もちゃんと智哉さんとお付き合いさせてもらっていることや、お気持ちに答えられないことをお伝えできていなかったので、その点は申し訳なかったです」
「そ、そんな・・・。言いづらい雰囲気にさせてしまっていたのでしょうし」
そうだ。なんて言えないから、微笑みを返す。
「されたことを、簡単に許すことはできません。無理矢理していいことではないと思います」
「はい」
「ですが、今回のことは水に流すつもりです。訴えたりするつもりはありません」
「え、それは、本当ですか? 」
「はい。ですが、俊之さんがしたことは、決して許されることではないことは理解してほしいです。この先、誰か他のかたを好きになったときには、ちゃんと紳士に向き合ってもらえることを願ってます」
「・・・はい。その相手は、あなたではないのですね」
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