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「お前から、話を聞いたときも腹のなかがモヤモヤしてた。でも、今日俊之さんとお前を見ていると、無償に腹のなかが掻き回されるような嫌な感じになった」
「え・・・」
「嫉妬してた。俊之さんが、夕紀にキスしたことに、無償に嫉妬した」
耳元で話されるとゾクゾクと痺れてしまう。
いけない声が出てしまいそうで、でも今はそんな時じゃないって必死に耐えた。
「ずっとわからなかったんだ。夕紀といると居心地がいい。素の自分でいられる。楽しいと感じる。それはなんでなのか。友達と思っているのかと思ったけど、なんだかしっくりこなかった」
「・・・」
「嫉妬してるんだって気づいて、好きなんだって思ったらストンと納得がいった。ああそういうことかって」
「智哉・・・」
「好きなんだって気づいたら、夕紀に伝えずにはいられなかった」
気づいてすぐ告白してくれたのか。
智哉はすごいな。強いんだ。最初からそうだった。強い意思を持っていて、迷いなくて。
俺は、好きだって気づいてもすぐに隠すことを選んだ。
怖かったから。
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