ーキミガスキ

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「ーー夕紀、お前熱ないか?」 「ん、・・・え? 熱?」  唇を離した智哉が怪訝な顔で俺を覗き込む。  熱? 確かに体はだるいけど、これはただ今日のことですごく疲れただけで・・・。 「ほら、熱い。しんどかったならちゃんと言えよ」 「え、ごめ、でも、気づかなかった・・・。ただ疲れただけだと思って・・・」  智哉の手が額に触れ、ひんやりと冷たくて気持ちいいと感じるくらいには額は熱くなっているらしい。 「女の格好で冷えたのか」 「そこまでやわじゃねぇよ」 「じゃあ、疲れが出たんだろう。ほら、なか入ってとりあえずその化粧をとって着替えろ」 「いや、いいよ。たぶん、熱あるっていってもまだ動けるし。今のうちに帰って家で寝るし」  両思いってわかってすぐにお世話になるなんて。しかも、看病させるってことだろ?  そうでなくても、まさかの両思いに戸惑ってんのに、このまま智哉の家になんていられないって。  そう思ったのに、智哉を見るとよしとはしてくれない様子だった。
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