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「そんな状態で好きな人を帰すわけがないだろ?」
「すっ、好きな人って・・・」
「夕紀も俺を想ってくれてるなら、俺たちは恋人同士ってことだ。俺は恋人の看病もしないような酷い人間じゃない。それとも、夕紀はこの状況で俺の立場だったら、熱のある俺を帰すのか?」
「か、帰すわけないだろ!」
思わず否定して、そら見ろ、と智哉の視線が言っている。
それはそうだけど。俺の立場からすればとてもいたたまれない。
本来なら、両思いってわかってそわそわしあったり、さっきのキスだって、もっと深くなったりもして。
ぎこちない感じに笑ったりして、甘い空気になったりもしたんだろう。
それなのに。俺と来たらこんなときに熱だしてて。
智哉に心配される始末。かっこつかないし、情けないしで、穴があったら入りたい。
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