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「そっか。よかった」
「それより、おじいさんがすまない。本当に、俺の話を全く聞く気がないんだ、あの人は」
「ははは。もうそんなの、今に始まったことじゃないじゃん。でも、俺に会いたいって思ってくれてるってことだろ? それは素直に嬉しいよ」
最初は迷惑でしかなかったけど。
でも、名実ともに俺は智哉の恋人になったんだ。もう偽物じゃなくて、演技でもなくて。
男だってことは騙すことにはなるけど。
「それに、おじいさんが連れてってくれるところ、すごく美味しいし。楽しみ!」
「そうか。ありがとう」
おじいさんと合流して、つれていってもらったのは今日はお寿司。もちろん回転なんてしていない職人さんが一貫一貫丁寧に握ってくれるお店だ。
ああ、どうしよう。幸せかもしれない。
こんないいものが食べられるなら、女装の一つや二つ全然問題ない。
しかも、智哉と両想いになって智哉のためなら女装だって苦じゃなくなった今、最高に幸せしか残っていない。
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