ー好きなタイプ

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 ドキリと胸が鳴る。は、恥ずかしい。  かあああっとなって俯き、ごまかすようにお茶を流し込んだ。  さらりとそういうことしてくれるんだ。平然とした顔しやがって。 「見せつけてくれるじゃないか」 「別にそういうつもりではありませんよ」 「だが、意外だな。智哉はそういう風に世話焼きなタイプとは思っていなかった」 「ええ。夕紀相手だとそうなるみたいです」  あわわわわわ。なに話してんだよ。  恥ずかしくて聞いていられなくて、食べることに徹する。  それにしても美味しい。  女の子ってどんくらい食べんの。自分が女になってるの忘れてめちゃくちゃ食ってしまいそうなんだけど。  俺、体つきも華奢な方だけど、結構食うんだ。痩せの大食いってやつ。  いくら食べても太らなくて筋肉にもならないのが俺は不満だったけど、他の人にしてみればそれが羨ましかったりするらしくよくそう言われた。  俺としてはちゃんと食べたぶんだけ筋肉になってくれたらもっと男らしくなれたのにと思うのだが。  今となっては、そのお陰で今こうして智哉と恋人同士になれたのだから結果オーライなのかもしれない。
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