ー嫌いな顔

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 ずっと、自分の顔が嫌いだった。  女っぽくて、可愛いなんて囃し立てられるこの見た目。  よかったのは、幼稚園の頃までだ。  少しずつ回りが、かっこいい男の子に興味を持ちはじめてからは、自分は見向きもされない。  むしろ、あの子かっこいいよね、なんて同意を求められる始末。  俺は女じゃないのに。女友達みたいなノリで楽でいいって言われたこともあった。  それが嫌で、嘗められたくなくて口調だけは男らしくなろうって突っ張ってきた。  そしたら、口の悪いやさぐれた性格の男の出来上がり。  大学を卒業して入ったこの仕事は好きだ。  接客業は向いていると思う。  大嫌いな中性的な人当たりのいい顔が一番得をする。  笑顔を作るのは苦じゃなかった。  幼い頃ずっとかわいいって言われ続けてきて、かわいいと言われる笑顔を作ることになれていたのもよかったのかもしれない。  こうして就職して接客をするようになるまではなるべく男らしくと封印してきたけれど。  でも、今はこうして役立つこともあるのだから、文句ばかりも言えない。
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