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ー気の合う二人?
その連絡が来たのは、あの厄日から一月ほどたち十一月に入った頃。
すっかり空気も冷えてきて、冬の訪れをひしひしと感じる頃。
黒歴史としてすっかり記憶の奥底に丸めて捨てていた諸悪の根源の名前がスマホに表示されたのだ。
何が残念かって、俺が本当にすっかり忘れていて誰だっけ?なんてのんきに思いながら電話に出てしまったことだ。
覚えていたら絶対に出たりなんかしなかったのに。
「もう一度女装してこい」
「はい? ムリムリムリ! もうあんなの懲り懲り!」
「お前に拒否権があると思うのか?」
う。痛いところをついてくる。
拒否権なんてないの知ってるよ。
俺が寝坊したのがいけない。わかってる。そんなことは。
でも。
女装するっていうのは、本当に、本当に、屈辱的なことだ。
お前にはわかんないだろうけどな!
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