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「九条くん、私は・・・」
「俺のこと、わかってくれたの三葉だけだ。俺をこうやって立ち直らせてくれたのは三葉だ」
「それは、私が教師であなたが私が受け持つクラスの生徒だからよ」
「それでも。俺には三葉が必要だった。女性として、三葉のことが好きなんだ」
どうにか、伝わってほしいと思った。恋愛なんてしたことがなかった。これが、初恋の智哉にとってただ思いを貫き通すことだけがすべてだった。
「九条くん。気持ちは嬉しいわ。でも、私にとってあなたは生徒なの。あなたは手のかかる生徒で、心配で色々と手を焼いてきたわ。それは、教師としてやってきたことよ。それで勘違いさせてしまったのならごめんなさい。私は教師なの。その立場を違えることはできない。ごめんなさい」
「教師としてじゃなくて、三葉として俺を見てくれよ!」
教師としてなんて、見れなかった。だから、彼女にもそういうのを取っ払ってみてほしかった。でも、彼女は首を横に振る。確固たる意思を感じた。
智哉は受け入れられなかった。受け入れたくなかった。その思いで強引に腕を引きその体を抱きしめたのだ。
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