ー過ぎ去りし日

7/8
前へ
/288ページ
次へ
 その日朝のHRが始まる前に担任に捕まり職員室につれていかれた。噂の真相を確認すべく呼ばれたことはすぐにわかった。でもその前に、彼女に会いたかった。ごめんって謝りたかった。  でも、それは敵わず、まずは担任に話を聞かれた。その時は、なにも答えなかった。自分の片想いなのだと、認めるのが嫌だった。三葉には自分を思っていてほしい。そんな勝手な思いが、智哉の口を閉ざした。  それが間違っていたことはすぐに気づいた。彼女が全面的に非を認めたのだ。  もちろん、智哉とそういう関係にあったわけではないことはきちんと話した上で、何が起きたかもすべてを話、その上でそういう行動に起こさせたのは自分の責任だと。すべての責任は自分にあると話したのだ。  その話を聞き、そこで初めて智哉は口を開いた。悪いのは自分だ。彼女は純粋に教師として接していた。それなのに、自分が彼女へ恋愛感情を抱いてしまったのだと。そしてそれが抑えられなくなって告白してしまったのだと。彼女は、はっきりと自分を振ったし、気持ちには答えられない、自分は教師だと言われたのだと証言した。  しかし、その時にはすでに噂は尾びれをつけて広まっていて、収拾のつけられない状態にまで陥っていた。そのためその事態を終息させるため、その事態を起こした責任をとる形で彼女が年度の途中であるにも関わらず他校へと転勤することで終わらせることになった。
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1153人が本棚に入れています
本棚に追加