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その言葉に、止まっていたはずの涙が溢れた。
俺はバカだ。勝手に悩んで、智哉の気持ちを疑って。智哉はこんなにも俺のこと思ってくれていたのに。
「ごめん・・・。ごめん、俺、自分のことしか考えてなかった。智哉の気持ち・・・疑って、勝手に不安になって・・・それで」
「夕紀が謝ることはない。不安にさせたのは、俺が悪い。動揺していたのは確かだし、それで不安に思うのは当然のことだ。それに、待ち合わせをすっぽかして連絡もしないで・・・。俊之さんに責められても仕方がない」
「なんでだよ。俺が悪いじゃん。ちゃんと聞かなかった。あの人は誰で、どういう人なんだって! 怖くて、聞けなかった」
「俺も、どう話せばいいのかわからなくて、ごめん」
抱きしめられると胸が一杯になって。愛しい気持ちが溢れる。こんなに大好きなんだ。それなのに、ちゃんとそれを伝えられなかった。それを伝えて、俺を見てって言えばよかった。
「ごめん、智哉。俺、智哉が好きだ。好きだから、怖かった。智哉にもう要らないって言われるのが、怖かったんだ」
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