ー脱!(仮)

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「そ、そんな、男だなんて・・・」 「お父さん。夕紀さんの人柄はお父さんがよくわかっているんじゃないですか」 「俊之・・・。お前も知っていたのか」 「私が知ったのは最近ですよ。お父さん、あなたこそ二人を騙していたではないですか」 「騙していただと?」 「余命幾ばくもないとはどういうことですか?」  「うっ」  俊之さんの指摘におじいさんは言葉を詰まらせた。  気まずげな表情。本当に嘘だったんだ。ここで改めてほっとする。 「その事を夕紀さんに話したら、どうだったと思いますか?」 「ど、どうとは」 「泣いたんですよ。彼は。騙されていたというのに、お父さんが病気じゃなくてよかったと」  その言葉を聞いて、おじいさんが俺を見る。何となく気恥ずかしくてうつむいた。 「俺、おじいさんのこと好きです。うち、母子家庭で、その父を亡くしてて。父だけじゃなくて祖父母もどっちももういないから。おじいちゃんってこういう感じかなって、なんか楽しくて・・・。あ、勝手にそんな風に思ってすみません。でも、だから、すごく楽しかったんです」 「夕紀・・・・・・」 「だから、これからも、そういう関係が続けば言いなって思ったんです。図々しくてすみません」
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