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今日、おじいさんと会っているのは、ホテルではなく別の店だ。
趣のある料亭。俺がきっと普通に生活していたらきっと来ることの無さそうな、高級そうな店だ。
上品な女将さんが料理を運んでくれる。
みるみるうちにテーブルの上は豪華な料理で埋め尽くされていた。
立ち上る香りに目を輝かせる。
やばい。がっついてしまいそうだ。
今、俺は女、女、上品に。と言い聞かせながら。
ちらりと隣に座る智哉を見るとそんな俺に気づいたのか鼻で笑われたような気がした。
お前のためにしてるのに。
と腹が立つが、そのお陰でこんな豪華な食事にありつけるのだと怒りを静める。
「ここは、ワシの行きつけで、おすすめの店だ。料理の味も、ワシのお墨付きだ。たんとお食べ」
「はい。・・・いただきます」
見た目は少し厳つい感じがするおじいさんだと思ったけど、こんな風ににこにこと笑っていればどこにでもいる優しいおじいさんに見える。
俺の祖父母はどちらももう亡くなっているため、こうしておじいさんと楽しく食事するのはまるで自分のおじいちゃんとそうしているみたいで少し楽しかった。
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