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「ありがとうね、夕紀」
「え?」
「孫の智哉を選んでくれて、本当にありがとう」
「い、いえ・・・」
そんな風に言われても困ってしまう。
だって俺は、おじいさんを騙しているわけで。
俺は男で、智哉の恋人でもなんでもなくて。
むしろ、そもそも知り合いでもなかった。
罪悪感に胸が痛む。
でも、こんな風に嬉しそうなおじいさんに、今さら嘘でしたなんて言えるはずがなかった。
おじいさんを傷つけたくない。
その気持ちが生まれ、どうするのが一番いいのかわからないのだ。
「あの、今日はありがとうございました。ごちそうさまでした」
「あんなに美味しそうに食べてくれたんだ。ご馳走するかいがあるよ」
「はは・・・」
がっついてしまって本当に恥ずかしい。
でも、本当に美味しかった。
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