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「またご馳走させておくれ」
「は、はい・・・」
「智哉にもーーーっ」
「え、おじいさん!?」
座った状態から立ち上がろうとしたおじいさんの身体がグラリと傾く。
先に立ち上がっていた俺は慌てて駆け寄りおじいさんの体を支えた。
顔色が悪い。青ざめている。
どうしよう。
「おじいさん! あの! きゅ、救急車・・・」
「いい、大丈夫。問題ない。少し立ちくらみがしただけ。少しすると落ち着く」
「で、でも」
「たまにあることなのだ。心配かけてすまないね」
鞄の中からスマホを出そうとする手を止め、おじいさんはそういった。
おじいさんは大丈夫だっていうけど、不安で仕方がない。
だって、倒れそうだったんだ。おじいさんは病気で、先が短い。
いつ倒れたっておかしくないのかもしれない。
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