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ーーし、社長!?
キリッとした眉。少しきつめに見えるそれに比べ瞳はとても優しそうで、その瞳が銀縁の眼鏡越しに俺を見ていた。
艶のある黒髪はセンターでわけられていて癖もなく綺麗に整えられていた。
そしてその人には、とても見覚えがあった。
したっぱである俺が面と向かって話す機会はほぼないが、知らないわけがない、このホテルの社長だ。
若干三十五才にしてこのホテルを仕切る。
なんて人に助けられてるんだ、俺は!
というか、その上こんな格好でなんて・・・。
「す、すみません・・・」
あまり顔を間近で見られて気づかれたくなくてとっさに顔を伏せた。
俺のことを知らなくても、俺が男であることがばれてしまうのはとても気まずい。
「い、いえ。すみませんこちらの方こそ、お客様お怪我はありませんか?」
社長は慌てたように俺の身体から手を離すとホテルマンの顔になり紳士に心配してくれる。
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