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「大丈夫です。あの・・・助けていただいてありがとうございました」
あまり顔が見えないよう俯き気味にお礼をいうと頭を下げた。
少しでも早くここから去らないととそればかりだった。
「お部屋はどちらでしょう。お送りしましょうか」
「え、あ、いえ。知人を送ってきただけですので・・・。それに、どこも怪我はありませんのでおきになさらないでください。失礼します」
精一杯女らしく振る舞って、逃げるようにその場を後にした。
これ以上はボロが出そうだったし、自分が働く場所でしかも社長の前で平然と女装姿でいるのはものすごくいたたまれないものだった。
逃げ出した瞬間、後ろから呼び止められたような気がするけど気づかないふりをした。
どれもこれもあいつのせいだ!
俺をおいてさっさと帰りやがって!
本当に、許さないからな!
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