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智哉が金を出して雇った意味がわかった。
本来なら本当に、あの一度だけで終わらせるつもりだったのだ。
会わせて満足させて、それで終わらせて後は智哉がやり取りをしていくつもりだったのだろう。
納得できればそれ以上会いたいなどと言い出すことはないだろうし、もし言い出したとしてもずいぶん先になってからか、そう何度も言わないだろうと。
それがまさかの気に入られてしまうなんて。
気に入られるようなことをした覚えはないんだけどな・・・。
「女装は死ぬほど嫌だけど、智哉のおじいさんのことは嫌いじゃないし。美味い飯でやってやらないこともない」
「・・・言っておくが、俺は別に高給取りなわけじゃない。毎度このレベルは無理だ。破産する」
「え? そうなの? なんだ。おじいさん金持ちそうだし、智哉もそうなのかと思った」
「おじいさんはそうだが、俺は普通のサラリーマン家庭で育ってる。俺自身もごく普通の企業勤めだ」
「ふぅん」
てっきりお坊っちゃんなんだと思った。
身なりは綺麗だし、何て言うか立ち居振舞いとか上品さが自然と出てるというか。
俺にはない上品さがあるというか。
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