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・・・意気込んだんだよ。
「役に立たないな」
「俺に泣きついてきた智哉に言われたくない」
「泣きついてない。どうにかしろといっただけだ」
「どうにもならなかったけどな」
そう。
どうにもならなかったのだ。
あの日、智哉に言われるままにおじいさんに連絡した。
丁重に断りを入れた俺に、おじいさんは泣き声でいうんだ。
ーー死ぬ前に孫の晴れ姿をこの目に焼き付けたい!! そんな老いぼれの頼みをどうか聞いておくれ、夕紀。夕紀の花嫁姿もワシは見ておきたいのだ
と、泣かれてしまったもんだから、それ以上なにも言えず思わず「わかりました」と答えてしまった情けない俺。
おじいさんは、なかなかに手強い人だった。
いや、わかってはいたけど。
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