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「ああ、なんて美しい! 素敵だ、夕紀。智哉も。本当にお似合いの二人だよ」
「ありがとうござます」
俺たち二人を見たおじいさんは感涙しながら、俺の手を握りしめ上下に振った。
こんなにも喜んでもらえるなんて嬉しい反面、少し複雑な気分だ。
ちらりと智哉を見る。
戸惑いながらも、おじいさんの様子に少し嬉しそうにも見える。
おじいさんのこと、本当に好きなんだろうな。
そうじゃなければこんなことまでしないだろう。
でも、なおさら、本当のこと言わなくていいのかと思う。
こんな風に騙すんじゃなくて、ちゃんと理由話してわかってもらうべきじゃないのか。
「じゃあ、そこにならんで。写真撮影だ」
「え。着るだけじゃないんですか?」
「着るだけなんてもったいないだろう。記念だ。ほら、並んだ並んだ。カメラマンのいう通りに動けばいいんだから」
「え、えぇ」
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