ードキドキ? するわけないよね、ほんとだよ

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「すぐ済むから」 「いいねー! 思いあってる感じが伝わってくる! もう少し微笑んで、新婦さん! 笑って」  思いあってないし。笑えと言われて笑えないし。むしろ泣きたい気分だし。  でも。カメラマンの横で楽しげに感慨深げに見ているおじいさんが視界に入って、無理にでも頑張らないといけない、なんて思ってしまったんだ。  大分、ほだされているらしい。 「あ、あの」  屈辱的なお姫様だっこの撮影が終わったとき、俺はおずおずと提案する。  そもそも、俺たち二人の写真だけとって何が楽しいんだ。 「おじいさんも一緒に写りませんか?」 「ん? ワシもか?」 「夕紀・・・?」 「あの、せっかくの記念ですし。私たちだけでとっても意味ないですから。今日はおじいさんのためにしているんですし」
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