ードキドキ? するわけないよね、ほんとだよ

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 智哉と向き合う。  あーもう、無駄に緊張する。  これは、この場の雰囲気に飲まれてるだけだ。  変なドキドキでは決してないからな。 「いいか? カメラからはしてるように見えるようにだぞ。やり直しとか勘弁だかんな」 「ああ、わかってるよ」  小声でやり取りし、潔く目を閉じた。  キスは自分がエスコートする側がよかった。  フラれ続けてきた俺は、キスもしたことがない。  なんてことは、あまり人には言いたくない。  でも、いつかはしてやるんだ。  好きになった女の子と相思相愛になって、俺のエスコートで・・・。 「ーーーっ!?」  カシャッというシャッター音。  写真を撮られたのはわかった。  でも、一番わからなかったのは、唇に触れた感触だ。  今の、なんだ?  柔らかい、むに、とした感触。  いや。考えたくない。  もしかしなくても、そうとは思いたくない。
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