1152人が本棚に入れています
本棚に追加
智哉と向き合う。
あーもう、無駄に緊張する。
これは、この場の雰囲気に飲まれてるだけだ。
変なドキドキでは決してないからな。
「いいか? カメラからはしてるように見えるようにだぞ。やり直しとか勘弁だかんな」
「ああ、わかってるよ」
小声でやり取りし、潔く目を閉じた。
キスは自分がエスコートする側がよかった。
フラれ続けてきた俺は、キスもしたことがない。
なんてことは、あまり人には言いたくない。
でも、いつかはしてやるんだ。
好きになった女の子と相思相愛になって、俺のエスコートで・・・。
「ーーーっ!?」
カシャッというシャッター音。
写真を撮られたのはわかった。
でも、一番わからなかったのは、唇に触れた感触だ。
今の、なんだ?
柔らかい、むに、とした感触。
いや。考えたくない。
もしかしなくても、そうとは思いたくない。
最初のコメントを投稿しよう!