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社長だったのだ。
ホテルの社長。
それで、おじいさんの息子。
智哉さんの叔父にあたる人。
一気に情報が押し寄せ、二の句を告げずにいた俺。
「あの、失礼を承知でお伺いしますが。お名前はなんとおっしゃるんですか」
「え? な、名前?」
何を聞かれるのかと思って身構えていると、名前だった。
名前?
名前なんて聞いてどうするんだ。
あ、もしかしてさっきおじいさんと一緒にいたのを見られていたとか?
そういえば、以前会ったときもおじいさんを送り届けた帰りだった。
おじいさんとどういう関係なのか気になったんだろうか。
「え、あ、あの。・・・夕紀です」
悩んだ結果、名字はあえて告げず下の名前だけを告げた。
おじいさんにはフルネームで伝えているし、もし違う名前を出したところであとでばれたら言い訳のしようがない。
でも、ばれるリスクをおかしてフルネームをいう勇気はなかった。
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