ー忘れたい、キス

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 でも、いつからだったかな、あれ、こんなに話しやすかったっけ?って思うようになった。  気を遣わなくていいし、一緒にいるのは楽しいし。  それが次第に恋へと変わっていったんだ。 「智哉が結婚しないって言い張ってんのも、自分でもうできないって思い込んでるのよね。ん。できた」 「・・・ありがとう。思い込むって?」 「過去、少し辛い恋をしててね。それくらいしかあたしからは言えないけど。でも、あたしは智哉にはちゃんと恋愛をしてほしいし、幸せになってほしいって思ってるのよ。だから、その相手が夕紀ちゃんだとしたらすごく嬉しい」 「でも、俺・・・。俺自身、男を好きになったのはじめてで、ちょっと戸惑ってるんだ。今女装とかしてるから、気持ち的に女の気持ちになってるのかな、とか思ったり」 「そうかしら? 夕紀ちゃんの気持ち信じてあげたらいいと思うけど」  そうなのかな。  もう、気持ちに関しては認めないといけないだろうと思ってるし、認めている。  でも、その気持ちで突っ走るかどうかはまだ決めかねていた。
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