ー忘れたい、キス

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 気の迷いかもしれない。  今のこの状況を脱したら、もしかしたら気持ちは変わるのかもしれない。  戸惑いから、そんな風に考えてしまう。  今の自分の気持ちを信じて、いいんだろうか。  智哉が好き。  今のこの自分の気持ちが、すべてなのかな。 「とっても可愛いわ! いってらっしゃい」 「ありがとう、マキさん」  ほんと、最初はちょっと苦手意識もあったけど、いい人だ。  嫌な顔ひとつせず面倒であろう変身を一から全部手伝ってくれる。  しかも、毎回だ。  化粧品も、さすがに回数を重ねるから使った分のお金を払うか、化粧品を買い取るって言ったけど、断られた。  お金もらうとしたら智哉からもらうから大丈夫って。  でも、きっと、智哉からも受け取らないだろうことは想像できた。
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