濃霧

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濃霧

もうここには誰もいない 私はずっと同じ場所にいるが 皆いなくなった 私一人だけおいていかれた 私はかつて憧れていた場所にいるし 新しい憧れもある しかし心が和んでいない なにか大きなものが欠落している 空間的とか時間的とか そういう共通の理解が存在しない 濃い霧のような あるいは深い谷底のような おそらくもう二度と戻らない 幻の日常の 微かでくっきりとした記憶を 気づくとたどっている
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