あの世の入口で

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宵闇が迫る街というのは、どこか不気味で苦手だ。おまけに傘もないのに小雨が振り出し、徐々に雨足を早くしていく。 舌打ちしながら、街中の雑踏を掻き分け、少しでも人の少ない、明かりのない方向を目指して突き進む。 その途中、ふいに真昼のような光が辺りを照らし、眩しさに目を細める。 甲高いクラクションが鳴り響き、軽トラックがこちらへ突進してくるのが目に入った。 そうかこれで俺は死ぬのか、と暗い感情が沸き起こる。 迫り来る車体を避ける間もなく、目を閉じたのを最後に、俺の記憶はふつりと飛んだ。
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