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二匹の兄弟猫は睨み合うと、「フーッ!」と唸り声を上げた。タウの手は、すでにロブの胸倉をつかんでいる。
同じ母猫の腹から生まれたとはいえ、二匹の姿形はとても良く似ていた。ともに大柄な灰色猫で、いかにも屈強そうな体躯をしている。あえて違う所を探すとすれば、兄猫よりも弟猫の方がわずかに淡い毛色であることぐらいだろう。
「お兄さんの未来が出たわよ」
一瞬即発になった兄弟の状況にもかかわらず、弟嫁のマリーベルは妙に落ち着きはらっていた。兄猫のトニヤにそっくりな青と緑のまだら模様になった目が光って、とても神秘的だ。すると今にも大喧嘩になりそうだった兄弟猫が押し黙り、視線がカードの上に注がれた。
「まずジェシカだけど。彼女はとてもいい猫ね。愛想がいいし、お喋りで、人情家だわ。お兄さんの汚い口癖も、全然気にしないわ」
マリーベルはその細い指先で、カードをヒラヒラと回転させた。ロウソクの明かりに、艶やかに印刷されたカードの背中が妖しく光る。
「でも、ジェシカとお兄さんは縁が薄いわ。彼女とは、酒場だけでのつながりみたい」
マリーベルの手から、はらりとカードが落ちた。それを見て兄猫は「それ見たことか」と笑い、弟猫はみるみるうちに膨れて仏頂面になった。
「信じたくはないが……。まさか兄貴の相手は、エリス・ラナヤットではないだろうな」
ふてくされた顔つきのままで、ロブ・ブッチーニが尋ねた。しかし「いいえ」と、マリーベルは首を振る。彼女の手には新たなカードが握られていた。
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