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梨乃ちゃんはずるい。
私よりずっと前に鳴海くんと出会って、恋人になれて。
私の知らない鳴海くんのこともたくさん知っているんだろう。
私は鳴海くんの一番にはどうしたってなれなかった。
多分中学が同じだったとしても、梨乃ちゃんには敵わなかったと思う。
もし梨乃ちゃんがいなかったとしても、私が鳴海くんの一番になれたとも思わない。
でも、やっぱり悔しい。悔しいじゃない。
このまま生きていても、きっと私はずっと鳴海くんのことを忘れられない。
でも鳴海くんと梨乃ちゃんは幸せになるのだ。何も知らずに。何も悩まずに。
そんなのはおかしいじゃない。
私だけが不幸になるだなんておかしいじゃない。
だからあなた達が結婚する直前のこの時に、私の部屋に呼んだのよ。
不眠だって嘘をついて睡眠薬も用意した。
自分の胸を包丁で突くときだって怖くなかった。
ねえ、鳴海くん。
警察がきちんと調べれば、私の自殺だと分かってしまうかもしれないけれど。
それでも、どっちにしろ。
あなたを殺したのは私。
一生覚えていて、背負って生きて。
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