第1章

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色々考えて自分だけではどうにもならないので 智を呼ぶことにした。 智は専門学校の時から一緒で就職して1回目の同窓会で会った時に付き合い出した 彼氏である。 同級生だが頼りになる。 ただし電話では通じないのでLINEを打つ事にしたのだが クロロの手で打てるだろうか。 スマホは無理なのでタブレットでやってみたら意外にもいけそうだ。 まずはパスワードだがクロロの小さな手で何とか打てる。 そしてLINEのアイコンを押してスクロールして智を選んだ。 「智すぐ来て!」 しばらくすると既読がついた。 「どうした!」 「一大事、大至急来て!」 「了解、30分で行ける」 「よろしく!着いたら鍵を開けて入って」 「出てるの?」 「ビックリしないで、クロロと入れ替わってしまったの」 既読の後、返信がない。 「来たら分かるって!」 「急がせて冗談かよ、買い物中だったんだけど」 「マジなんだって、とりあえず早く」 「とりあえず向かってるから、飯食べさせてもらうからな!」 だから猫だって言ってるのにと思いながら、こんな話誰も信じられないよね。 智が来るまでしばらくクロロの目線で楽しもうと思い 私の方を見るとベランダから外を見ていた。 クロロはいつも寝ている時以外は窓から外を見てるのだが目線が違うので いろんなものが見えるので面白いのだろう。 しばらくすると少し眠くなって来た。 「ミソギ、起きろ!」 「あ、サトル来てくれたんだ」 「びっくりしたよ、窓際で丸くなって寝ているから死んでるのかなと」 「違うの、私がクロロになって、今のクロロが私なの」 「なら今、俺が抱きかかえているのは誰なのかな」 「そんな、本当なの朝起きたら入れ替わってて、 私クロロの餌も食べたしトイレだって」 「わかったわかった、とりあえずお腹が空いたんで何か作ってよ。 ミソギに言われて急いで来たんだぜ」 「わかったわ」 どうやら夢だったようだ。 キッチンに行くとポテトチップスの空き袋があった。 そう言えばさっきから口の中にポテトチップスの味が残っていた。 クロロが何か言いたげにこちらを向いていた。
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