みそ汁

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みそ汁

「やぁだ!そんなのいらない!」 「こら、もったいないでしょ。ちゃんと食べなさい!」 「もうお腹いっぱいだからいらないの!」 ・・・・・・・・リリリリリリリリリ 「ふぁーあ。」 早く起きろと急かしてくる目覚ましを止めておぼろげな視界で部屋を見渡した。 「ふわぁーあ。おかーさーん?」 あくびをしながら伸びをしてどこにも見当たらない母に呼びかけるが返事が返ってくる訳もなく、相変わらず自分だけがポツンとそこにいる。 「って、いるわけなかった。」 春から始めた一人暮らしはもう夏に差し掛かろうというのに未だに違和感を感じる。小さな部屋に誰もいない空間の寂しさに慣れる日はいったいいつになるのだろう。 カーテンからは隠れきれない朝が漏れ出していて、開けると太陽が部屋にようやく一日の始まりを知らせた。 眩しさに目をこすりながら耳に入る小鳥の鳴き声はなんとも清々しい朝を感じる。 台所に入ってコンロをひねるとカカカカカカカッと小気味良いリズムを刻み青色の炎が揺らいだ。 昨日作った味噌汁を温めながら小さなお椀にご飯をよそって納豆を混ぜて待つ。 ちょうどいい塩梅に混ざってきた頃にこれまたちょうどいいタイミングで鍋がコトコトと合図する。 「おっととっと、アチチ。」 お椀によそうとき少し手にかかってしまった今日の最後の役者を机にコトリと置いて手を合わせた。 「いただきます。」 朝はこれぐらいがちょうどいい 小盛りのご飯に納豆を載せて掻き込むと喉がつっかえて味噌汁をすする。
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