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「なんでですか? だから、あの魔法陣でその人を呼び出せって書いてあるでしょう?」
「今日はいい天気だったわねー」
と、重ねて露骨に違う話題を振ってくる。
「なんか、話をはぐらかしてますよね! 全然うまくないけど!」
「そんなことないわよー。私はただ、武等君とお話をしていたいだけ」
「武等(たけと)じゃなくて武人(たけひと)ですが……」
「ああ、ごめんなさい。人の名前間違えるのって最低よねー。もうしわけない。ああ、そうそう、最低といえば……」
「……もしかしてあなた。あの魔法陣を使えないんですか?」
そんな僕の素朴な疑問に、彼女は慌てるでもなく答えを返す。
「そんなことはないわよ。まあ、あれと同じものを自分で作れと言われると、あんな上級の神様を呼び出す魔法陣なんて作れはしないけど、あそこまで出来上がっていたら後は発動させるだけだもの」
「だったら、さっさとやればいいのでは?」
その問いに、彼女は両方のこめかみを指で押さえながら、苦渋の表情で言った。
「……なんだか嫌な予感がするのよ」
「嫌な予感?」
「あいつ……、能力は凄いんだけど、戦い以外の才能が無いのよねー。っていうか彼女が大それた術を使って成功してるの見たことないもの」
「まあ、それならダメ元でやってみればいいんじゃないですか。失敗したら、その時は何か他の手を考えましょうよ。というか、僕は早くその人に会ってみたいんですけど」
「どうしても?」
それはそうだ。その人(神様?)は僕にとって今のところ唯一の知り合いらしいのだ。それは、すぐにでも会ってみたい。
「どうしてもです。それが嫌なら、そのブラジャーをください」
「は?」
「って、僕は何を言ってるんだ!?」
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