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「もういいわ。あなたと話してるとすんごい疲れる。とっとと終わらせて帰りたいわ。あなたは一応そこで待ってて。何が起こるか分からないから」
彼女は僕に答えもせずにそう言って、魔法陣のある所まで一人すたすたと歩いていくと、「はい、作動」と言って、まるでスイッチを押すかのように魔法陣の端を人差し指で押した。
「って、家電製品かよ! もっと呪文とか儀式的な言葉とかは使わないの!?」
「しょうがないでしょ! そういうのはもう終わっていて、あとは作動するだけになってるんだから」
なんて言い合いをしている内に、魔法陣が光を放ち始める。
その神々しい光の中から現れたのは……。
爬虫類っぽいルックス。
背中には蝙蝠のような羽。
腕は六本。
身長は3メートルはあるかという、RPGのラスボスみたいなやつだった。
その周囲には、その強さを示すかのように稲光がバチバチと大きな音を立てていたりする。
あれが僕の知り合いなのだろうか? だとしたら、あまり会いたくはなかった。僕の数メートル前で、その化け物に見えるものに対峙していた髪永さんは固まったまま動かない。
ちょっとした間を置いてから、やっと相手に対して言った。
「あのー……。どちら様でしょう?」
『吾輩こそは魔界の帝王、大魔王バラモ・S・ターク・ドラゴンキング大院居士だ!!!!』
なんか、問題あり過ぎな名前だな! ってか最後の方、戒名みたいになってない!?
そんなツッコミを許さないほどの威厳を備えた魔界の帝王様に、髪永さんは言った。
「すみません。間違えました。申し訳ございませんが、お帰りくださいますでしょうか」
と、魔界の帝王に丁寧に頭を下げている自称神様だった……。
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