武人、誘拐される

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 そんなやり取りを眺めていた大魔王様が、入ってきたその女性に訊ねる。 『貴様が吾輩を呼び出したという女神か?』 「なんじゃそりゃ? そんなもん知らんわ」  その女性の無責任な言葉に、黒焦げになった髪永さんの額に怒りマークが現れるが、黒髪の女性は気にもせずに続ける。 「っていうか、その辺バチバチいわせとる電流を止めい! 儂は電気が嫌いなのじゃ」 『止めろと言われて吾輩が止めると思うか?』 「ふん。なら、お主の息の根ごと止めるまでじゃ」  そう言うと彼女の手に、炎を刀身にまとわせた剣が現れる。それを見た大魔王様は言った。 『フハハハハ。炎系の武器か。かなりの神器のようだが、吾輩の体は炎に耐性があるのだ。そんな攻撃は効かんぞ』 「真っ二つになれば、おぬしも死んでくれるじゃろ? そうすれば、電流も止まるわ!」  そう言って剣を振り上げる。 『フハハハ。吾輩をそう簡単に殺せると思うか?』  大魔王様がその剣に向かって指を刺す。 「――っ!!」  と、女神様が剣を落とした。見ると、彼女の落とした剣が、バチバチと放電をして光っていた。 『フハハハハ。吾輩の魔術でその剣に電流を帯びさせてやった。これでもうその剣は使えまい』  嘲笑う大魔王様に、長髪の女性は言った。 「だーかーらー、電流を止めいっちゅうとんじゃ! ビリッと来たではないか、ビリッと!!」  言い終わらないうちに女神様は、大魔王様に殴り掛かっていた。 『やめ…ぐはっ! いと……ごほっ! 言わ…げへっ! れて……ぼわっ! や…ぎゃっ! め……ほげっ! ると……ぶわっ! 思…げっ! う…ごほっ! か』  と、凹殴りにされながら(止めいと言われて吾輩が止めると思うか?)と言っている大魔王様だった。  って、あんたそれしか言えないのか!?
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